出産前後は仕事を休まざるをえないので「お金の支援ってどれくらいあるの?」と不安になりますよね。その中でも「出産手当金」は、働くママにとって心強い制度のひとつ。
今回は、出産手当金が「いつ・いくら・どうやって」もらえるのか、モデルケースや申請手順も含めてわかりやすく解説します。
※この記事は2025年4月時点の情報です。制度変更等にご注意ください。
出産手当金とは?

出産に関して貰えるお金はいくつかありますが、その中でも出産手当金は、会社に雇われている女性が出産に伴い育休に入る際に、会社から受け取る給与の一部を補填する制度です。
何故なら、出産の42日前と、出産の56日後は女性の心身への大きな負担となるため、法律で働くことが禁止されています(労働基準法第65条と第65条2項)そこで、その期間に得られるはずだった給与の一部を補填することで、母体の健康と安全、そして赤ちゃんの健やかな成長をサポートするために設けられた制度なのです。ありがたい制度ですね!
会社員・公務員など、勤務先を通じて健康保険(協会けんぽ、組合健保など)に加入している人が対象となります。
ここでは、制度の基本的な概要と、受給条件について詳しく見ていきます。
出産手当金の支給対象になる人
出産手当金は、以下の条件をすべて満たす人が対象になります。
- 健康保険に加入している(社会保険に入っている会社員、公務員など)
- 出産のために会社を休んでいる(産前産後休業を取得)
- 休業中に給与が支払われていない、または一部だけ支給されている
⚠️ 専業主婦や国民健康保険加入の自営業の方は対象外です。
出産手当金はいくらもらえる?計算方法を解説
出産手当金の金額は、以下の計算式で決まります。
💡 【標準報酬日額 × 2/3 × 支給対象日数】
「標準報酬日額」ってなに?
これは、会社に申告されている「額面の給与」から、社会保険料などを計算するための基準額です。
📌 実際の“手取り”ではなく、「税金などが引かれる前のお給料」がベースになります。
支給される期間
出産手当金の支給対象期間は、次のとおりです。
- 出産予定日の42日前(多胎妊娠なら98日前)
- 出産の翌日から56日間
➡ 単胎妊娠の場合は 合計98日間(約3か月分)になります。
モデルケースで見る支給額
月給(額面) | 標準報酬月額(例) | 支給日数 | 出産手当金(目安) |
---|---|---|---|
200,000円 | 約200,000円 | 98日 | 約435,000円 |
300,000円 | 約300,000円 | 98日 | 約650,000円 |
400,000円 | 約400,000円 | 98日 | 約870,000円 |
※あくまで目安です。実際の金額は、保険組合や企業の制度により異なります。
ざっくり自分のお給料で計算してみる
ご自身の標準報酬日額から、ざっくり出産手当金を計算してみることも可能です。
目安としてお使いください!
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出産手当金の申請方法と必要書類
出産手当金は、産前休業分も産後休業分も2つまとめて出産後に申請するのが基本です
書類の準備と会社・医師との連携が必要になるので、早めに確認しておきましょう。
必要書類
- 出産手当金支給申請書(健康保険組合 or 協会けんぽ)
- 会社経由で手続きする場合は、会社から用紙かデータが貰えると思います
- 自分自身で手続きする場合は、WEB上からのダウンロードが必要です。
- 申請書は3ページあるのですが、書くのは1~2ページ目のみで、3ページ目は事業主が書きます。こちらの事例が大変分かりやすいです。(健康保険出産手当金支給申請書)
- 手元に自分の保険証、マイナカード、出産のため労務に服さなかった期間が分かるもの、があればすぐに記入できます。マネー調査員は出産後の病室で書きました。
- 医師または助産師の証明(出産日など)
- 証明書が必要なのではなく、出産手当金支給申請書に自分の記入文を書いたら、病院側が記入する欄がありますので、病院に提出すると書いてくれます。病院によっては、数日から数週間かかる場合があったり、別途書類作成費を支払う必要が出たります。産後はこういうお金が掛かるんですよね。
- 勤務先の証明欄(産休取得の証明)
- 出産手当金支給申請書の3ページ目がそうなのですが、会社経由で手続きしていれば自動的に会社がやってくれます。
申請の流れ
会社経由でやるのか、自分が会社と健康保険組合の間に入って直接やるのかによって流れが随分変わります。
従って、事前に会社に相談してみてください。
会社から、自分で保険組合とやってと言われれば、詳細は保険組合に確認する必要があります。
項目 | 会社が申請窓口(組合健保に多い) | 自分で申請(協会けんぽに多い) |
---|---|---|
申請方法 | 会社が保険組合に提出 | 自分で保険組合に郵送 |
書類の入手 | 会社が配布してくれることが多い | 協会けんぽ等のサイトからダウンロード |
書類の記入 | 医師・会社が記入後、会社が送付 | 医師・会社に記入依頼 → 自分で送付 |
提出先 | 会社経由で保険組合へ | 自分で健康保険組合(または協会けんぽ)へ |
メリット | 会社が取りまとめてくれるのでラク | 自分のペースで申請できる |
注意点 | 会社の対応に依存する | 書類不備があると支給が遅れる可能性あり |
支給額が減ることがある!?
出産手当金の支給期間は「出産日」を基準に計算されるため、出産予定日から前後した場合は支給対象日数が変動することがあります。
🔹出産が予定日より早まった場合
→ 実際の出産日が基準になるため、産前休業の日数が短くなり、支給額が減る可能性があります。
(例:予定日より10日早く出産 → 産前期間が42日→32日に短縮)
🔹出産が予定日より遅れた場合
→ 遅れた日数分だけ産前期間が延長され、その分も支給対象になる可能性があります。
(例:予定日より8日遅れ → 産前期間が42日→50日に延長)
支給までにかかる期間
出産手当金は、申請してからおよそ1〜2か月後に振り込まれることが一般的です。
初回はやや時間がかかる場合もあるので、余裕をもって資金管理をしておきましょう。
企業や保険組合の運用によっては、複数回に分けて支給されるケースもあります。
出産手当金の注意点とよくある質問
- 退職予定だけど、もらえる?
-
出産前に退職すると、原則として出産手当金はもらえません。
ただし、出産日をまたぐまで在職していた場合は支給対象になる可能性があります。→ 詳しくは会社の総務や健康保険組合に早めに相談しましょう。
- 育児休業給付金とは違うの?
-
はい、まったく別の制度です。
- 出産手当金:健康保険から、産休中に支給される
- 育児休業給付金:雇用保険から、育休中に支給される
📌 両方もらうには、時期に注意が必要です。
- パートや契約社員でももらえるの?
-
会社で社会保険に加入していればOK!
パート・契約社員・時短勤務でも、出産手当金の対象になります。
まとめ
出産手当金は、出産に向けて安心してお休みできるようサポートしてくれる大切な制度です。
- 対象になるのは、健康保険に加入していて、産休中に給与がない or 減っている人
- 金額は「額面給与 × 2/3 × 日数」で計算
- 申請は出産後に行い、支給はおよそ1〜2か月後
📌 制度は年度や法改正により変更される場合があるため、常に最新の情報を確認しましょう。
※この記事は【2025年4月時点】の情報に基づいています。
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